AIで業務改善・自動化という言葉を耳にする機会が増えましたが、「うちの会社にはまだ早い」と感じている中小企業も少なくありません。しかし、いまやAIは一部の専門家だけのものではなく、誰もが日常の業務の中で使いこなせる時代に入りつつあります。
今回は、「具体的にどんな風に使えるのか?」を試す実践として、LINEを入口にAIとつながる小さなサンプルアプリを試作してみました。
その名も「筋活食ライフ」。食事写真とコメントをLINEで送ると、AIが内容を解析し、“筋肉を強化する食事”という視点から適切なアドバイスを返す仕組みです。 入口は誰もが使い慣れたLINEですが、背後ではn8nのフローを通じてデータベースに情報が蓄積されています。
この設計により、将来的には「筋肉強化の観点から、食生活が長期的にどう変化しているか」を分析することも可能になります。
▼実際の画面イメージ。最初に基本情報+ニーズを登録し、日々の食事画像+コメントを送信。


n8nとは——ノーコードで業務を動かす自由度の高い仕組み
この仕組みを支えるのが、オープンソースの業務自動化ツール n8n(エヌエイトエヌ) です。
プログラミングの専門知識がなくても、社内のルーチン作業や日常的な業務フローを自動化できるのが特徴です。
たとえば、LINE、Google Sheets、Supabase、ChatGPTなどの外部サービスを「ノード」と呼ばれる部品でつなぐだけで、データの受け取り・整理・返信といった一連の処理を自動で実行できます。
「LINEで受信 → AIで解析 → 結果を返信」という流れも、n8n上でドラッグ&ドロップ操作だけで構築できます。
n8nは、特別なエンジニアのためのツールではありません。
経理や総務、営業、サポートといった部門でも、毎日の定型業務を自分たちで改善・自動化することが可能です。
つまり、n8nは“会社の知恵と工夫を形にするための道具”。
現場の担当者が試し、経営陣がその成果を見て判断する――その往復を支える、
中小企業のための現実的な自動化プラットフォームです。

ベンダーロックインからの解放——自分たちの頭で考え、改善を回す
システムを外部ベンダーに任せきりにしていると、小さな変更や改善にも時間とコストがかかります。
しかし、n8nのようなツールを活用すれば、自社の業務フローを自分たちで改善・更新し続けることが可能です。
さらに、業務の流れが可視化されるため、システムがブラックボックス化せず、フローをチーム全体で共有しながら考えられる点も大きなメリットです。
ベンダーは現場の細かな業務や企業文化までは理解できません。
そのため、言われたことはできても、言われていない部分の工夫や改善提案までは出てこない。
結果として「思っていたものと違う」「修正を頼んでも反映に時間がかかる」といった、ストレスだけが残る状況に陥りがちです。
これまでは、「中小企業にはお金も社内技術者もいないのだから、定型のパッケージや既存のWebサービスを使えばよい」という考え方も一般的でした。
しかし、AIやノーコードツールの進化によって、“自分たちでやろうと思えばできる時代”が到来しています。
自社でツールを組み合わせ、柔軟に業務を動かすことは、もはや特別なことではありません。
中小企業が生き残るための基盤には、柔軟性とスピードが欠かせません。
外部ベンダーにすべてを委ねていては、それは実現できません。
n8nのようなツールを活用して、現場の知恵をすぐに仕組み化し、AIと連携しながら業務の流れをスピーディに改善していくことを考えて行きましょう。
初期構築では専門家の支援が必要な場合もありますが、
軌道に乗れば経営層を含めて、“自分たちの頭で考え、改善を回す”状態へと進化できます。
それこそが、これからの時代に求められる――「真の内製化」です。

私たちの姿勢——ツールよりも「考え方」と「実践」を重視する
私たちITC-Pro東京は、n8nに限らず、特定のツールにこだわりません。
DXや業務改善のツールは日々進化しており、今日の最適解が明日も正しいとは限らないからです。
大切なのは、「まず自分たちで試してみる」文化を育てること。
小さな自動化でも、実際に動かしてみると多くの気づきが生まれます。
そこから本格開発に進むのも、社内改善に応用するのも自由です。
私たちは、「自分たちで考え、試し、形にする」というサイクルを中小企業に根づかせることを使命としています。
机上の提案ではなく、共に手を動かし、現場の実感を積み重ねる支援を行っています。
終わりに——AIは特別なものではなく、日常の中にある
AIや自動化は、すでに特別な技術ではありません。
LINEのように、誰もが毎日使っているツールを起点に始められる時代です。
重要なのは、AIやDXを「導入すること」ではなく、自分たちの力で活かし、変えていくこと。
その第一歩を踏み出す企業が増えれば、中小企業の未来はもっと柔軟で、もっと面白くなるはずです。
AIは遠い未来ではなく、私たちの手の中にある。
私たちは、その力を「誰かのために動かす」のではなく、“自分たちで動かせる”企業を増やしていきたいと考えています。
ITC-Pro東京では、AI×業務改善の実践支援を行っています。
n8nやChatGPTをはじめとする多様なツールを活用し、中小企業が“自分たちで進化し続ける仕組み”づくりをサポートしています。
【お問合せ】は下記のページより
https://www.itcpro-tokyo.or.jp/contact